Character talking
Original Taste

―― 銭形警部 ――
警視庁の敏腕警部
警視庁の敏腕警部

2009/4/21 (Tue.) 01:07:43
 
 
 
連作5人目の銭形警部です。これにて連作終了です。
 
今回描いた銭形警部は、意識的にちょっと若くしてみました。
ルパンとは10歳も歳が離れてないような現役バリバリの感じで。
親しみを込めた「とっつあん」とは呼ばせず、あくまで敵対する男、銭形として。
 
(とっつあんという呼び方が嫌いな訳じゃないです。むしろ好きです。)
 
アニメの近作を観ると銭形は敏腕警部というよりも、ギャグメーカー(ギャグにすらなってない・・・かな?)
に成り下がって、どう考えてもルパンを捕らえる事なんか出来ない人物に描かれているように思えます。
キツイ表現になってしまいますが・・・・声の衰えの為か現職の警部っていう設定にも違和感があり、
既に定年を過ぎた年齢にもかかわらずICPOのお情け・温情で
ルパンを追いかける職務を続けさせてもらっているようにも思えてしまうのです。
そういった印象は観ていて痛々しい気持ちにもなることがありますので、
今回は銭形警部に若返ってもらい最前線でルパン逮捕および犯罪全般に挑む男として描きました。
 
 
 
描くにあたりどういう銭形にするのか考えたのですが・・・・
この絵では昭和一桁って設定はありませんし、「幸一」って名前でもありません。
なおかつ彼は実直・生真面目なだけの性格というわけではなく、世の汚さも理解しており
ルパンを捕まえる為には不二子やルパンに恨みを持つ者も利用する事もあったり、
ルパンの裏をかくような頭脳戦を仕掛けたり、時には職権乱用的な行動をとることもある。
ルパン逮捕の為には手段を選ばないドス黒さ・ニヒルさと
犯罪を許さない正義感という矛盾した心を合わせ持った人物です。
 
同僚や部下からは「鬼警部」と呼ばれ、暗黒街でも名の知れた存在で、
武術や運動能力も優れた才能があり、車・バイクもルパン並みに操る。
ルパンもそういった銭形にはある意味恐れの感情があり、また自分と同様、
属する世界からはみ出た者同士の共感らしき気持ちもあったりします。
 
そんな銭形ですが、最終的にはルパンに裏の裏をかかれ取り逃がし、
不本意ながらピエロの役回りにされてしまいドジを踏む人物をイメージして描きました。
また、不二子の絵でもコメントしましたが、銭形と不二子の関係も多少の色恋を交えた関係で、
銭形は不二子を利用しルパンの嫉妬心を煽る、不二子は銭形を挑発しルパンの動きを牽制、
自分の有利に事が運ぶよう仕向ける・・・
まるで狐と狸の化かし合いのような感じも面白いかと思います。
 
 
 
今回の銭形、キャラデザインとしてはパイロット版・旧ルパン・マモー編の彼をイメージして描きました。
僕のイメージする銭形は基本として面長で顎が前に突き出た、どことなくムーミンに似た輪郭なのです。
カリ城やデドアラの渋い銭形も好きなのですが、
この両作の銭形は輪郭が四角く顎がやや控えめに思えるのです。
貫禄はこちらの方があるように思え今回もこの四角い輪郭の銭形を取り入れようか迷ったのですが、
やはり顎はグイッと突き出ていた方が本来のイメージでありますのでこのようになりました。
 
それと僕はマモー編設定画にあるやや後ろ向きで顔だけ振り向き睨む銭形の絵が好きなのですが、
この設定画のイメージを取り入れたかったからです。
出来上がった絵ではコートの襟を立てて、目深に被った帽子から睨むように横を見ていますが、
これもマモー編の設定画の振り向く銭形をちょっと意識しています。
 
(パイロット版、旧ル版ではなくあえてマモー編、あの銭形は妙にかっこいいです)。
 
でもやっぱり襟は折ったほうが貫禄が付いて良かったかな?と、いまだに迷っています。
それと鼻も作品によって様々なんですよね。
で、この絵でも新ルパンのような鼻だとか描いてみたのですが、
あまり似合わないので、当たり障りのない鼻になりました。
 
 
 
 
 
銭形の目はほとんどの作品で黒目が小さく描かれていますが、
あのどこか可愛く見える目も銭形がギャグキャラにされている要因なんじゃないだろうか?と思い
今回は他のキャラとあまり変わらない大きさで描いてみました。
 
テレビ版銭形の特徴であるまつ毛ですが、今回はあえて描かなかったのです。
あのまつ毛はある意味、TV版銭形のチャームポイントであるように思うのですが、
個人的印象ではハードな話なんかの際には、可愛くなり過ぎるように感じるんですね
 
(乙女チックにも思える)。
 
銭形キャラデザインの中では比較的渋く描かれている「DEADorALIVE」でも律儀にまつ毛が描かれていますが、
あのデザインではいっその事ないほうがいいよにも思っていましたので今回はあえて描きませんでした。
でもあのまつ毛が嫌いという訳ではないのです。
もしアニメ新作が作られた際、まつ毛が無かったら無かったで自分自身、違和感を持つと思うのですが・・・
ですので、公式ではやってほしくはないが、こういう銭形も良いのではないか?という事で入れなかった。
という理由と、もう一つの理由として原作初期では銭形にはパッチリまつ毛は無いんだという事を
この絵に入れておきたかったのです。
 
 
 
 
 
余談ですが、僕はバビロンでの銭形の扱いが嫌いです。
軽いノリの作品である事は理解していても、あのICPO美女軍団に担がれて
張り切っている姿が受け入れられません。
あげくの果てにはその美女軍団にも役立たずな扱いを受けて・・・
僕が劇場で初めて観たルパン映画がバビロンだったのですが
あの銭形を見てガックシとうな垂れてしまいました。
 
「しゃきっとせいっ!」
 
と思います。それに対して風魔の銭形、声は納谷さんではありませんがとてもパワフルで
劇中ルパンを追いかけるカーチェイスシーンでの煙幕の中オロオロする所とか大笑いしてしまいました。
それとカリ城のラスト「あなたの心です!」って言葉も大好きですね。
ルパン逮捕しか考えてないように見えて、ちゃんとわかってるんだなァって思います。
 
各作品、銭形の扱いも様々ですが一心不乱にルパンを追う銭形はどれも好きです。
しかし悪ノリした演出を見るにつけ
 
「とっつあんをバカ扱いしないでください」
 
って思います。
 

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